岡野八代

一対の男女の関係が社会の基盤になっているのはいびつだし、歴史的には特殊な在り方だと思います。夫・妻とそこに生まれた子どもで閉じた家族モデルが日本で一般的になったのは一九五〇年代半ばから。家事や育児は女性に無償の労働を強い、その裏返しとして男性は長時間労働を余儀なくされた。日本はそのひずみを是正するどころか、ある種のイデオロギーとして近代家族の価値を押し付け、そこから外れる人たちをバッシングしてきた。 カップル至上主義は日本の現実に合っていません。統計上、日本の世帯は単身世帯が一番多い。多くは高齢者ですが、結婚しなかった独身者も増えています。そのときに性愛だけの結び付きが家族を形成するというモデルでいいのか。単身者が互いに支え合い、共同で暮らす形態も家族と認め、法的にも担保すべきではないでしょうか。